【187】 外国人参政権は 慎重に!            2009.12.15
   
− 世界では、認めていないのが趨勢 − 


 民主党の小沢幹事長は永住外国人に地方参政権(選挙権)を付与する法案を、政府提案で来年の通常国会に提出・成立させる方針を示している。民主党はこの「外国人参政権」に前向きで、鳩山首相・小沢幹事長は積極的な推進派であるが、現在の日本はそれを実現しなければならない必然はなく、また、実現したときの懸念も払拭されていない状況で、慎重に対処しなければならない問題であろうと思われる。


 小沢幹事長は、12日、訪問先の韓国における講演で、「日本国政府として政治姿勢を示すという意味でも、政府提案で外国人参政権付与に関する法案を出すべきだ。鳩山首相以下、現内閣は同じように考えていると思う。来年の通常国会には現実になるのではないか」と述べている。民主党議員に対しては「自分たちの政府が提案したことには賛成するのが普通ではないか」と事実上の党議拘束を示唆して賛成を求めている。
 しかし、外国籍のものに、なぜ参政権を与える必要があるのだろうか。外国人に参政権を与えている国は、世界では22カ国あるけれども、そのほとんどで厳しい条件が付与されている。全面的に参政権を認めているのはアイルランドのみであり、そのほか条件付きは、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、スロバキア、スロベニア、リトアニア、エストニア(以上EU)、ノルウェー、アイスランド、ロシア、
ニュージーランド、チリ、ウルグアイ、ベネズエラ、韓国、イスラエル、マラウェイである。EU加盟国が特に多いのは連合国家の成立を目指しているからで、EU圏内の国籍を持つものに限っての外国人参政権を認めるとする国が大半であり、日本人は認められていない。
 日本での永住者が42万余人と多い韓国(2008年日本政府調査)は、自らも一部の外国人に地方参政権を付与し、相互主義として在日韓国人への参政権の付与を日本に対して求めているが、在韓日本人永住者は55人(2003年日本政府調査)であり、相互主義などと言えるものではない。
 さらに韓国では地方選挙権を与える前提として、韓国の永住権を取得する必要があることはもちろんだが、そのために韓国に200万ドル(約2億円以上)の投資を行ったり、あるいは高収入であることなど、厳しい条件が課されていて、実際に韓国で参政権を与えられる日本人は10数人でしかない。
 外国人参政権の付与といった防波堤の一穴を大きく開けて、近い将来、外国人が多数を占める市や町が出来てきたら、怖ろしいことである。日本には、すぐ隣に中国という巨大な覇権国家が存在しているのである。中国の民族同化政策は怖ろしいほどの強権とスピードで進められていて、満州では清王朝を建国した満州族は、すでに漢族に同化されて消滅してしまった。内モンゴル自治区も中国に取り込まれて60年のうちに、混血同化政策の推進によって、ほとんどモンゴル民族は見かけなくなっているという。同様に進められる混血同化に抵抗している新疆ウイグルやチベットは、激しい暴力にさらされ、弾圧を受けている。
 中国ならば、何千人・何万人単位の移住など、朝飯前でやってしまう。日本も、50年もすれば中華人民共和国日本自治区として、「ニィハオ」と挨拶しているのではないか。


 在日外国人には、現在の国籍を持つ祖国での参政権はあるわけだから、なぜ加えて日本での参政権を求めるのだろうか。もし、日本での参政権が欲しいのならば、帰化すればいい。日本の法律のもと、日本で教育を受け、日本語を話すことを決意して帰化した人にも、参政権を与えるな…とまでは誰も言うまい。日本の参政権が欲しいのならば、現国籍を離脱して、日本国籍を取得すればよいのである。
 

 民主党は、同党の政策集「INDEX2009」に掲載されていながら、選挙のときには意図的にこの「外国人参政権」をマニフェストから除外していた。国民の賛同が得られないと判断していたのではないか。それを今、推進しようというのは、国民に対する背信行為であろう。
 日本国憲法は、その第15条1項に、「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と定めている。昨日、「憲法を知っているのか」と声を荒げた小沢幹事長は、この条文を知っているのだろうか。知っているとすれば、どう読んだのだろうか。この条文について最高裁判所は「この権利の保障は、わが国に在留する外国人には及ばない」としている。(最高裁平成7年2月28日)すなわち、日本国の政治に対する参政権は、日本国民の固有の権利であり、外国人に保障されるものではないのである。
 民主党が、外国人参政権の成立に積極的な外国人組織の手を借りて、選挙活動を行っているのも問題である。自治労や日教組など公務員が選挙活動をすることもそうだが、選挙権を有しない外国人がわが国の選挙活動にかかわるのは、公職選挙法違反である。ところが民主党は在日韓国人の組織である「民団」の手を借りて、ポスター貼りや街宣などの選挙活動を行っている。
 民主党は、いったいどこへ行こうとしているのだろうか。外国人に参政権を与える目的を明確にして、その先にどんな未来が待っているかを国民に説明するべきであろう。民主党の、鳩山首相の、小沢幹事長の、国家という運命共同体に対する認識(国家観)を問いたい。
 世界の趨勢を見ずに、鳩山、小沢が外国人参政権の付与を目指すのはなぜだろうか。東アジア共栄圏の設立を見込んでの近隣友好策ならば、全く違った方法があるはずだし、ことは「友愛」では済まされない国際社会の現実問題を内包しているのである。媚韓派・媚中派…なのか。彼らの政治姿勢がいまひとつ見えず、いたずらに中国・韓国に媚を売る姿ばかりがチラついて、民主党政権に対する危うさが付きまとう。


  
「日本は、今」 トップページへ